さて、前回お話しした1本の電話。相手はアメリカ人のヘッドハンターでした。
これでさんざんお世話になったトランスマートとの関係はいったん終わることになりました。
しかし、私はまたこうしてここに戻っています。
社長やスタッフの方々のプロフェッショナリズムと人柄、情熱、そして知性と知力に惚れ込んでいるからです。
そして何よりも、自分は組織というものがまったくの苦手だからです。
生涯自由でありたいからです。
「XXXに居たtattooさんですよね?実は折り入って相談が…
医薬や医療用具系のexpertiseやコネクションがなく、クライアントが不満を。」
M社という聞きなれないヘッドハンティング会社の社長からでした。
以前私がヘッドハンター(業界ではExecutive Search)であった頃の、
医薬系クライアントの紹介だったようです。
この業界にはふたつの人種がいます。本国で職に就けず、日本に行けば何とかなると考えて
手っ取り早く大金がもらえるヘッドハンティングの職に就く、いわゆる「不良外人」。
それと、業界をすでに退職または退職前にすでに相当の人脈を築き、それを生かすために
この業界に入るエリートやエキスパートたち。後者でないと、すぐボロが出ます。
電話は前者からでした。不良外人3名(米2、英1)と真面目なロシア人の4名の会社。
やみくもに電話をかけ、転職候補者を探していました。そんなやり方ではこの仕事は無理。
とりあえず今の月収より少し多い額で手伝うことにしました。翻訳からは一時撤退です。
まずは不良外人たちの教育から。それと、クライアントとの関係の再構築。
相手は外資系大企業のCEOやCTOといった面々。それなりの作法があります。
大事なのは業界知識や抱える課題に対する洞察力をちらちらと見せながら、
そして必ず相手を個人的にも褒めること。
クライアントとの関係はそれぞれ1度の面談で再構築完了。
しかしスタッフの教育には相当てこずりました。
ある日、M社が案件を受注しているという受託先の米系ヘッドハンティング会社K社の
APAC担当VPが来日しました。案件が思うように進んでいないからでした。
そしてその1か月後、私はそのK社のVPとして、M社との提携解消と日本支社設立を任されました。
年収が一気に3倍になりました。ボーナスを入れれば5倍の年もありました。
収入は、可処分所得が億単位となるようなものでなければ、
自由とは反比例するものだと、私は思います。
当然のごとく、私の自由は危機に瀕していました。
車で虎ノ門の豪華なオフィスに通勤。2名の優秀なスタッフと、そこそこのスタッフ1名の
働きにより、仕事は楽でしたが、またまた組織の壁に当たることになったのです。
そのお話は、また次回に。
CATツールはTRADOS Studio 2021およびオープンソースのOmegaTを使用しています。また、一部の海外クライアント用にAcrossの使用経験もあります。 タイプとしましては、特にIT系のマニュアル関連、半導体、化学、医薬、医療用具はお任せください。