A whale is no more...

執筆:
tattoo

A whale is no more a fish than a horse is.

 

クジラが哺乳類であることと、英文の何たるかを

最もわかりやすく表現した(と、私は感じています)

有名な「クジラ」構文ですよね。

 

私がこの文例に初めてお目にかかったのは、

今から40年ほど前の予備校生時代です。

当時の駿台予備校の英語テキストに出ていました。

「英語って、なんて数学的なんだろう」と感動し、

それからというもの、しばらくは英語崇拝者になってしまいました。

 

この文をいかに訳すか。

これを例に、翻訳者としての仕事を考えてみたいと思います。

 

翻訳会社との二人三脚

翻訳者は、クライアントから直接受注するのでなければ、

翻訳会社さんと常に二人三脚で仕事をしなければならないと

私は考えます。

 

翻訳者は、原文に忠実にその内容を理解し、それを極力忠実に、

誤訳なくターゲット言語に変換しなければなりません。

 

一方、翻訳会社さんではその内容をチェックし、

原文およびクライアントの特性・意向と照らしたうえで、

翻訳者の訳が適切かどうか、誤字脱字、typo等がないかどうかを

厳重にチェックし、必要に応じて修正してクライアントに納品します。

多分。。間違いなく。。

 

そして、納品物はクライアントの満足度を最大限高めるもので

なければならないと考えます。

それがリピートにつながり、翻訳者も翻訳会社も潤うからです。

当然ですよね。

 

さて、クジラ構文ですが、

ネット辞書にはさまざまな訳が記載されています。

鯨の魚にあらざること牛馬と同じ。

鯨が魚でないのは、馬が魚でないのと同じである。

鯨は馬と同様に魚ではない。等々。

 

私に訳せと言われれば、こう訳したいところです。

クジラはイルカと同じで哺乳類なのです。

が、果たしてそれで良いのでしょうか。

この訳は、業務として行う翻訳としてはかなりの冒険です。

 

イルカなんてどこにも出てきません。

でも、翻訳者としては、

「クジラと比較されやすいイルカを例にとり、

さらに、『なのです』でno more than のニュアンスを込めました。」

と説明したいのです。

 

 

ここにおいて、一翻訳者たる小生が守るべきSOPがあります。

 

それは、何よりもまず、この訳文について

翻訳会社さんに、あるいは直接受注であればクライアントに、

これで良いかどうか、あるいはどのような訳をご希望されるか、

納品前に確認することです。

これは決して省いてはいけない手順だと考えます。

 

翻訳者は、特に若いころの小生は、

「これは名訳だ」と自分勝手に考え、

説明も確認もなしにこの訳で納品していたはずです。

 

これでは翻訳者は失格だと私は思います。

 

翻訳者に対価が支払われるのは、

こうしたことも含め、さきほど申し上げた

翻訳会社さんとの二人三脚において、

クライアントの満足度を最大限高めることだと思うからです。

 

必要なものは自己満足の名訳ではなく、クライアントが満足する翻訳です。

 

このことは、小生は学習力が低いため、失敗を何度も重ねた経験から

常日頃肝に銘じている鉄則です。

とかく陥りがちな翻訳者の自己満足について、

これから活躍される翻訳者の方々のご参考になればと思い、

まずはこのことをお伝えしておきたいと考えた次第です。

 

次回は、翻訳者が主張してみたいと誘惑にかられる

翻訳著作権について考えてみたいと思います。

どうぞお楽しみに。。。

 

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執筆:
tattoo

  • 翻訳者経験30年
  • TOEIC情報なし
  • 英語検定情報なし

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