機械翻訳(MT)について

執筆:
momhana

今回は最近思うところの多い機械翻訳(MT)について書きたいと思います。

※MT=Machine Translation(マシントランスレーション)の略語

 

過去1年、MT案件がとても増えています。といっても、事前にファイルにMT処理がされていて、参考にできればするけれど、基本的には通常の翻訳と同様に処理するものばかりで、純粋なポストエディットはまだやったことがありません。

 

1年半ほど前に、最初にMT処理されたファイルを受け取ったときは、事前に説明を受けていなかったこともあり、正直、怒りが湧いてきました(ちなみに、Transmart経由のお仕事ではありません)。MTのクオリティはひどかったです。まだまだ実用にはほど遠いと思いました。それでも、MTに対するニーズは高まっているという現実を突きつけられたような気がしました。

 

その後、MTを利用する案件はまたたく間に増えていきました。レギュラー案件はMTに蓄積されるTMが増えていくためか、クオリティもだんだん高くなっていきます。用語単位では、MTもかなり使えるようになっているではありませんか。反面、コンテキストとの適合性はまだまだです。それでも当初から比べれば格段に進歩しています。

 

こうなると、業界の流れに抵抗するわけにはいきません。最初のMT案件で感じた「憤り」は次第に「焦り」に変わっていきました。どう対処したらよいのだろう…。

 

まず浮かんだのは、MTの影響を受けにくい分野への転換です。ただ、影響を受けにくいと思われるマーケティングなどのクリエイティブな分野でさえ、MTの利用は広がっています。実際、こうした分野のレギュラー案件を1件抱えていて、とんでもないMTばかりだったのが、多少は使用できる部分が増えています。

 

結局、MTと共存せざるを得なくなるだろうというのが現時点での私の考えです。だったら、気持ちを切り替えて、MTを積極的に活用しようかな、ポストエディットにも対応しようかなと迷っているところです。ただ、翻訳者がポストエディットをすることの弊害(変な日本語に大量に接することの弊害)もよく耳にします。ポストエディットスキルを学ぶ講座などもありますが、翻訳に影響しないか心配です。

 

そんなわけで、MTにどう向き合うか、迷っているところですが、ひとつ確実に言えることがあります。それは、日本語能力を強固にする必要があるということです。日本語がしっかりしていれば、MTにひきずられにくく、ポストエディットの弊害を避け、効率を上げることができるのではないでしょうか。

 

以前関与していた共同プロジェクトで、ライターを兼務している翻訳者の方と話したことがあります。印象に残ったのは、レビューの仕事が好きで、他人の翻訳を読みながら、より良い表現を考えるのが楽しいという発言でした。素人同然だった私は、他人の訳文にひきずられてしまい、そこから創造力が広がることはありませんでした。レビューを楽しむなんて、まったく考えられませんでした。

 

正直、現在もその状態はあまり変わっておらず、レビューは苦手です。海外在住で日本語に接する機会が少ないというマイナス点も、現地語を使う割合が増えるにつれ感じています。読書やネット記事を読むことはできるのですが、テレビやラジオ、他人との会話といった耳から入ってくる情報も侮れません。実際、子どもはそうやって語彙を増やしていくわけですから。。。先日は、日本人4人でしりとり(!)をしていて、あまりに言葉が頭に浮かんでこないので愕然としました。手頃なところで、Amazonのオーディブルを試すことを検討中です。何はともあれ、MTの品質向上速度を考えると、日本語スキルアップに本腰を入れないといけませんね。

 

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執筆:
momhana

  • 翻訳者経験15年
  • TOEIC情報なし
  • 英語検定情報なし

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ビジネス・金融、法律・契約書を得意分野としていますが、その他の分野についても、丁寧・的確なリサーチに基づく正確な翻訳を心がけております。マーケティング分野にも対応しています。よろしくお願いいたします。TRADOS、XTM、MemoQ、Smartling、CorwdIn、Phaseを使用するタスクに対応可能です。